HEAT20(ヒート20)G3・G2・G1のUA値|性能評価(断熱等性能等級)基準値との関係

突然ですが

皆さまはイギリスやドイツ、フランス、スウェーデンといった諸外国では、最低「室温」が法令で18~23℃を保つように規定されていることを、ご存じでしょうか?

欧米では【暖かい家に住むことは人権である】と考えれています。

なぜ、そのような考えがあるのでしょう。

健康意識の高いイギリスでは、寒い家とそこに暮らす人たちの死亡率の関係について数十年にわたる調査を行いました。その調査結果では、室温が16℃以下の場合、呼吸器疾患や心血管疾患などの大きな健康リスクがあるなど、寒い家の危険性を提起しています。

断熱性能が低く寒い住宅に住むと、健康リスクが高くなり(危険)寿命が縮むと言う研究結果があります。

2009年にはWHOより【室内の寒さの健康に対する影響】が発表され、諸外国では室温の大切さが認識されていますが、残念ながら、日本の住宅の省エネ性能や断熱・気密性能の水準は、諸外国に全く追いついておらず、それどころか先進国の中では最低の水準にとどまっています・・・。

日本では20年以上昔の1999年に定められた基準が「次世代省エネ基準」として現役で生き残っており、しかも、1999年の基準で作った寒い住宅を「高断熱住宅」として平気で売り出されていたのです。

2022年3月まで日本で性能表示制度で最高等級とされていた断熱性能は、先進国では最低基準を割っています。(今まで日本で断熱性能の最高等級とされていた「断熱等性能等級4」は諸外国と比較すると、とてもレベルの低い基準です。)

断熱うさぎ

しかし、今年(2022年)日本の断熱性能基準に関して急に政府が動き出しました!

2022年 4月
「断熱等性能等級5」(ZEH基準)の新設

2022年10月
「断熱等性能等級6」(HEAT20:G2相当)と「断熱等性能等級7」(HEAT20:G3相当)の新設。

2025年には「断熱等性能等級4」が義務化予定の告知

本記事では「2022年に新設」された断熱等性能等級6・7の基準と「HEAT20のG2・G3」の関係について等級5・4の内容も交えてご紹介します。

はじめに、お時間がない方のための「UA値と各制度のまとめ一覧表」です!

いままで日本最高と言われていた「断熱等性能等級4」が「HEAT20(ヒート20)G3・G2」と比較すると、いかに低いレベルだったか理解していただけると思います。

目次

UA値とは?

引用:国土交通省

UA値は「家の外周部から伝わる熱量を平均したもの」

さらに噛み砕くと

「住宅の外気に触れている部分を通して、どれだけ熱が逃げていくかの平均値を計算した結果」になります。

「数値が低い」ほど断熱性能が高くなると、知っていただければ思います!

断熱うさぎ

UA値が「0.87」より「0.6」の住宅のほうが断熱性能が高いこと示します。

HEAT20(G2、G3)が掲げるUA値の基準

HEAT20とは、「一般社団法人 20年先を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」を指します。

低環境負荷・安心安全・高品質な住宅・建築(以下、住宅等と称す)の実現のため、主として居住空間の温熱環境・エネルギー性能、建築耐久性の観点から、外皮技術をはじめとする設計・技術に関する調査研究・技術開発と普及定着を図ることを目的として2020(令和2)年7月22日に設立されました。

HEAT20は外皮性能の推奨水準を提案しており、「G1水準」「G2水準」「G3水準」の3つ基準を設け、省エネ基準を高みへ誘導する活動をおこなっています。

国のZEH基準、性能表示の上位等級、地方自治体の自主基準に認められるなど、HEAT20がかかげる水準は断熱性能の上位基準の目安として使用されています。

HEAT20は、かかげる水準=住宅シナリオの正しい理解、水準の適正な活用、そして高性能を求める消費者の保護を目的に「HEAT20住宅システム認証」を2022年3月より開始しています。

東京地域のUA値基準値(「UA値」が低ければ低いほど断熱性能が高い住宅になります。)

HEAT20 G30.26
(断熱性能が高い)
HEAT20 G20.46
ZEH基準0.60
H28年省エネ基準0.87
(断熱性能が低い)

各地域区分の代表都市で実現するための外皮平均熱貫流率UA値

出典:HEAT20公式HPより

上記表のとおりHEAT20(ヒート20)G3・G2基準を満たすUA値は

G3が「0.26」以下

G2が「0.46」以下

と高い水準となっております。

断熱うさぎ

「断熱等性能等級4」のUA値が「0.87以下」なので差は歴然ですね。

HEAT20(G2、G3)と新設された断熱等性能等級の関係

国土交通省HPより
断熱等性能等級7(2022年10月より)HEAT20「 G3 」水準
(UA値 0.26)
断熱等性能等級6(2022年10月より)HEAT20 「G2」 水準
(UA値 0.46)
断熱等性能等級5(2022年4月より)ZEH基準
(UA値 0.60)
断熱等性能等級4(2022年3月まで最高等級だった)省エネ基準(2025年以降、義務化予定)
(UA値 0.87)
断熱等性能等級3平成4年基準(2025年以降は消滅
断熱等性能等級2昭和55年基準(2025年以降は消滅
断熱等性能等級1上記以外(2025年以降は消滅
HEAT20と断熱等性能等級の関係
断熱うさぎ

「断熱等性能等級7」が「HEAT20のG3

「断熱等性能等級6」が「HEAT20のG2

の水準をクリアする必要があります。

2022年3月まで最高基準だった「断熱等性能等級4」が、まさかの日本最低基準の義務化レベルに・・・。
(いままでの日本の基準どうなってるの?)

性能表示・断熱等性能等級の断熱仕様の参考例

国土交通省HPより
断熱うさぎ

国土交通省HPに断熱仕様の参考例が載っていますが、サッシは樹脂サッシ(さらにG3基準になると三層複層ガラス)・断熱材も厚さもさることながら「外断熱」も必要になり、結構なコストアップになりますね…。

間取りや窓の面積など諸条件にもよりますが、「断熱等性能等級4」はサッシの素材がアルミでペアガラスでも条件をクリアできました。

「断熱等性能等級5」以上の基準を満たすとなるとサッシの素材は樹脂製を使用しないと条件クリアが非常に厳しいです。

住宅の熱損失は窓から5割以上と言われています。

UA値の数値を上げるには、「壁・屋根・床」の断熱性能を上げるよりも、「窓」の性能を上げる方が効果が高いです!

まとめ|HEAT20のG2・G3のUA値は高水準

UA値と制度のまとめ

UA値と各制度の関係を一覧表にしました。

HEAT20のG2・G3で求められるUA値が、いかに高いか理解していただけると思います。

これから住宅を建てる予定の方は、依頼する建築会社に「UA値の数値」をしっかりと確認しましょう。

できればHEAT20のG2・G3の基準を満たしたいところではありますが予算との兼ね合いで中々難しいかもしれません。ただ予算が厳しくても、今後住宅を建てるのあれば「UA値が0.6以下」で施工してくれる建築会社に依頼されることをお勧めします。

「断熱等性能等級4」(UA値が0.87以下)を高気密・高断熱の住宅とセールスされたら丁寧に距離を置きましょう…。

UA値を確認して窓口の方が「UA値」を理解していなかったり、教えてもらえないような建築会社であれば、建築を依頼するのは避けたほうが良いかもしれません。

もし優良な建築会社が中々見つからないもっと建築会社を研究したいと言うことでお悩みでしたら「家づくりの無料相談窓口」を利用されてみてはいかがでしょうか。

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