住宅性能表示の断熱等級選定で悩んでいたら、
今年(2022年)新しい等級が新設されると聞いたのですが
今年はじめからザワついていたのですが、とうとう閣議決定しましたね!
今回は、住宅性能表示制度の概要と新設された断熱等性能の上位等級について、まとめていきたいと思います。
住宅性能表示制度の基本概要
▶新築住宅の住宅性能表示制度ガイド(国土交通省住宅局住宅生産課)
住宅性能表示制度は、2000 年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづき、同年 10 月に運用開始された制度です。
住宅性能表示制度を利用することにより、共通のモノサシで住宅性能を比べることができるようになりました。
住宅性能は、建築会社の独自基準が先行しており、車や家電と違って比較が難しいですよね。
性能表示制度を利用した住宅は、ひと目で性能が分かるため、できるだけ性能表示を取得した住宅を購入したいところです。
住宅性能表示基準は 10 分野
① 構造の安定に関すること
[必須項目]
② 火災時の安全に関すること
③ 劣化の軽減に関すること
[必須項目]
④ 維持管理・更新への配慮に関すること
[必須項目]
⑤ 温熱環境・エネルギー消費量に関すること
[必須項目]
⑥ 空気環境に関すること
⑦ 光・視環境に関すること
⑧ 音環境に関すること
⑨ 高齢者等への配慮に関すること
⑩ 防犯に関すること
※各画像は国土交通省HPより
【 ポイント 】
・建築基準法で定められている性能項目は、建築基準法の水準を「等級1」としています。
・住宅性能表示項目は等級で表現され、数字が大きいほど性能が高いことを表しています。
・各項目により最高等級は異なります。
・すべて最高等級を取得することが優れているとは限りません。ライフスタイルや建築地の環境などを総合的に判断し最適な性能を考えることが大切です。
【 注意 】
設計図面から評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と施工・竣工時の現場検査・検査結果からまとめた「建設住宅性能評価書」の2種類があります。
購入対象の住宅が「建設住宅性能評価書」まで取得できているか、しっかりチェックしましょう!
断熱等性能等級の上位等級が新設されました
2020年10月、日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指す宣言しました。その宣言を受け、2022年住宅業界では省エネ分野に大きな動きがありました。
目標達成に向け、住宅性能制度の「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」に新しい等級が新設されたのです。
2022年4月に「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」が新設。
さらに2022年10月には「断熱等性能等級 6 」「断熱等性能等級 7 」が新設されます。
断熱等級5は「ZEH」
断熱等級6は「HEAT20 G2」
断熱等級7は「HEAT20 G3」
水準のクリアを求められます。
あくまでも参考程度になりますが一般的に、どの程度の仕様が求められるか国土交通省の資料を見てみましょう。
建築原価・販売価格に大きく影響がでますね…。
今後の断熱等性能等級について
心地の良い住宅は断熱からと言われるぐらい、家づくりにおいて断熱性能は重要な要素です。
これまで長期優良住宅の仕様にも用いられている「断熱等性能等級4」が最高等級であり、断熱性能の高みでありましたが、残念ながら今回の改正で最高等級が最低等級に…。(Why・・・)。
今まで最高等級と言ってきた断熱仕様は、いったい何だったのか・・・。
今後、どれくらいの断熱性能を目指したら良いかは本当に悩むところです。
断熱性能を示す数値のUa値(値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高い)は、東京・大阪エリアの「断熱等級4」の水準は0.87なのに対し、「断熱等級6」の HEAT20 G2水準は0.47、「断熱等級7」のHEAT20 G3水準は0.26です。
工法によって断熱仕様の得意・不得意があり一概には言えませんが、通常のグラスウール強化と樹脂サッシ+アルゴンガス仕様で「断熱等級6」をクリアするのは厳しいです。
「断熱等級6」をクリアするとなると外壁外断熱・基礎断熱等が必要になってくるので建築コストが一気に跳ね上がってきます。 となると・・・。
・大手ハウスメーカー系 → 「断熱等級6」「断熱等級7」を狙ってくる。
・住宅デベロッパー系 → 「断熱等級5」をベースに何らかの付加価値をつけて差別化を図ってくる。(ZEH・低炭素住宅等)
・パワービルダー系 → 「断熱等級4」の取得。
のような流れになるのではと、勝手に想像してみます。